この章の観測指標
指標 01供給集中度 — AIの身体は一社に握られている
World
AI学習用アクセラレータの市場は、NVIDIAへの極端な集中が続いています。設計は米国一社、 先端の製造は台湾TSMC、広帯域メモリ(HBM)は韓国勢——AIの身体は、世界でも数えるほどの企業の 手の中にあります。この集中は効率の源泉であると同時に、単一障害点でもあります。 地震、海峡の緊張、一社の価格戦略——どれか一つで世界中のAIの「身体づくり」が止まりうる構造です。
Japan
日本はこのサプライチェーンに素材・製造装置で深く食い込んでいます(シリコンウェハ、フォトレジスト、 露光周辺装置など)。つまり日本は「GPUを買う国」であると同時に「GPUを作らせる国」でもある。 観測指標としては、アクセラレータ市場のシェア構成と、日本経由の供給ボトルネック品目を追います(未計測)。
指標 02価格・納期 — 順番待ちの列はどれだけ長いか
World
最先端GPUの需給は「価格」より「納期」に現れます。需要期には発注から納品まで数十週に及び、 クラウドのGPUインスタンスは予約枠の争奪戦になりました。納期の伸縮は、AI業界全体の 投資熱と供給能力の差分をそのまま映す体温計です。
Japan
日本の観測ポイントは、国内クラウド(さくらインターネット、ソフトバンク、NTT系など)の GPUクラウド提供価格と空き状況です。政府の経済安全保障関連の支援でGPU基盤整備が進み、 国内でも「借りられるGPU」は増えつつありますが、価格は為替と世界需給に直結しています。 公表時間単価の定点記録を開始しました(ページ上部の観測パネル・週次更新)。
指標 03ワット当たり性能 — 電力章とつながる効率の指標
World
GPUの世代交代は「同じ電力でどれだけ多く計算できるか」の競争です。ワット当たり性能の改善は、 電力章で観測する電力制約を技術側から緩める唯一の力であり、AIの生存条件の中で 最も確実に改善が続いてきた項目でもあります。
Japan
電気料金の高い日本では、ワット当たり性能の意味が他国より重い——同じ電気代でできる計算量が 国の競争力に直結します。世代別のワット当たり性能(公表仕様ベース)と、 国内データセンターの電力効率(PUE)の公表値を組み合わせて観測する設計です(未計測)。
指標 04国内自給 — 日本は自分の身体を作れるか
World
各国が半導体の国内製造に巨額の補助金を投じ、「計算能力の自給率」が安全保障の語彙になりました。 米CHIPS法、欧州半導体法、そして各国のソブリンAI(主権AI)構想——AIの身体を 他国に依存しない、という動機が世界の産業政策を動かしています。
Japan
日本の焦点はラピダス(Rapidus)の2nm世代量産への挑戦と、TSMC熊本工場の稼働拡大です。 ただし現状、AI学習用の最先端ロジックを国内で量産する能力はまだありません。 「日本のAIは、日本製の身体で動けるか」——この問いへの距離を、 工場の稼働・投資・歩留まりの公開情報から観測します(未計測)。
指標 05中古市場 — 世代交代の川下で何が起きるか
World
新世代GPUの登場は、旧世代の大量放出を生みます。データセンターを退役したGPUが中古市場に流れ、 小規模事業者や研究室、個人の「手の届くAI」を支える——中古市場はAIの計算能力の 再分配機構です。中古価格の下落速度は、最先端の進歩速度の裏返しでもあります。
Japan
日本の中古・オークション市場(業者間流通、フリマ、専門店)でのデータセンター向けGPUの 出回り状況と価格を観測候補にしています。円安局面では「日本から海外へ買われていく」逆流も 起きうるため、流通方向も観測点です(未計測)。
データソース(選定中)
- ・市場シェア・出荷統計:調査会社レポート(転載規約は要確認)
- ・国内GPUクラウド価格:各社公式料金ページの自前確認(価格数値のみを抽出・自社整形。出典と取得日を全数値に明記・週次)
- ・ワット当たり性能:メーカー公表仕様(事実データとして整理)
- ・国内自給:ラピダス・TSMC熊本等の公表資料・報道の一次確認(事例ベース)
- ・中古価格:国内オークション統計(利用規約は要確認)